【レポート】精神科看護の肉弾戦

先日はご参加いただきありがとうございました。

まずは参加者の感想をごらん下さい。

 

 

 

当日は8名の方に参加していただきました。学生、精神科に興味のある方や、すでに精神科で働き始めた方、関西や北海道から来た方など(ありがとうございます!)

私自身の臨床経験や、書籍で読んだ知識をもとに「ひとつの考え方」とし、「病気の人ではなく、病気になった人として捉える」ことを中心にお話しさせていただきました。

生育歴、育った土地、兄弟構成や家庭の経済状況などの家族情報、学歴、国内の情勢などの情報からどうアセスメントするか?患者さんを「ひとりの人間」として捉えていくことが重要です。

また、精神疾患は歴史を調べると、時代によっては政治利用されたり、社会に溶け込んでいたりと様々な変遷をたどっています。江戸時代や現在のスリランカでは「そもそも精神医療を受けれない」環境にあったため、社会に馴染んでいたようです。

 

 

引用書籍一覧

講義のなかで引用した書籍を紹介します。

自己啓発・コミュニケーション系

嫌われる勇気/岸見一郎

幸せになる勇気/岸見一郎

人を動かす/デール・カーネギー

自由論/ミル

特に上記3冊は訪問看護時代、マストで読むべき書籍として薦められていました。この3冊を読み理解できれば、お菓子を食う糖尿病患者に対し「食事制限は守りましょう」と言わなくてもいいことが理解できると思います。

「自由論」は小難しいので、余裕があるときにでも。

 

精神疾患の時代と国による違い

逝きし世の面影/渡辺京二

生きる勉強/アルボムッレ・スマナラーサ、香山リカ

逝きし世の面影は江戸時代。生きる勉強はスリランカ。時代と国での精神疾患の在り方が描かれています。

 

生物学的視点、精神医学の歴史

精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構/エリオット・ヴァレンスタイン

心の病の「流行」と精神科治療薬の真実/ロバート・ウィタカー

1冊目は神経科学者で心理学者が書いた一冊。うつ病はセロトニン不足、統合失調症はドパミン過剰などの「モノアミン仮説」に関する疑問を投げかけております。

2冊目は物議をかもした一冊でもありますが、オープンダイアローグが知られるきっかけとなった本でもあります。製薬ジャーナリストが書いたもので、精神医学の歴史などにも触れており、考えさせられることが多い1冊。薬開発の経緯なども面白いです。

 

カウンセリング的観点

オープンダイアローグとは何か/斎藤環

子は親を救うために「心の病」になる/高橋和巳

フィンランドで行われている治療「オープンダイアローグ」。家族療法を発展させた精神療法で、薬を少量にとどめることができる治療法として注目を集めています。子は親を救う~は家族情報のアセスメントや心の動きを理解できる1冊。拒食症の娘と、その母親について書かれたところは涙ものでした。

 

臨床向け

精神科の薬がわかる本/姫井昭男

精神科に就職した際に、真っ先に身につけて欲しい知識として薬の副作用があります。それについて分かりやすく書かれております。

 

体験談

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち/田中圭一

精神科ナースになったわけ/水谷緑

患者さんの体験談は疾患を理解するのにはうってつけです。専門書もいいですが、このような本も読むことをおすすめします。

 

本当?

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった/藤川徳美

私の個人的な体験ですが、貧血治療をしてるうちにうつ病も改善したという方が3人いました。ニセ医学と言われることもありますが、一考もアリなのかなと思う一冊です。

 

 

最後に

精神科で亡くなるということ

 

精神医療はようやく日が当たりつつありますが、それでもまだ認知されていないことが多い分野です。個人情報などの観点から、看護師が表に出て語れる機会も少ないです。第2回も検討しております。お楽しみに。