医療者と生活者の垣根をなくす!コミュニティナースがつなぐ地域の輪

街中で屋台をやることも看護・・・?!

地域看護の世界を知ろう!

 

みなさん、”看護師”といえば”病院にいる人”のイメージが強いですよね?

実際、就業している看護師のうちおよそ95%は「病院・診療所・訪問看護」など医療機関、医療機関と連携する事業所で働いています。

 

ですが、最近は病院の外で活動する看護師が全国に増えてきています。その背景には育児の孤立、心の病・自殺、進行していく生活習慣病、老々介護、高齢者の独居・孤独死など・・・様々な社会問題の影響があります。

 

そして看護師に限らず、“そんな社会が抱える課題を解決したい!”そう願い、本気で活動をする個人・組織・地域が広がりをみせています。そんな中、今回は地域を活性化する“コミュニティナース”として活躍する女性を紹介します!

 

“コミュニティナース”とは何なのか?「?」が多いコミュニティナースの世界を、ひとりの女性の看護師人生を紐解きながらお伝えしていきたいと思います。

 

地域をつなぐコミュニティナース!看護師・保健師の恵美さん

恵美さん
わ~、撮影照れる!

よろしくお願いします♡

 

今回紹介するのは、看護師・保健師の恵美(えみ)さん。恵美さんは、地域をつなぐ看護プロジェクトコミュニティナースの一期生。

 

看護師としての道を模索していた恵美さんは、”コミュニティナース”という看護の形と出逢ったことで人生に転機が訪れました。現在はそのコミュニティナース活動を主軸に、訪問看護や地域での社会貢献活動など”地域の暮らしの中にある看護”を形にするため、仲間たちと日々奮闘しています。

 

人生を変えるほどのコミュニティナースの世界・・・

気になる!!

 

医療と人の隔たり!幼少期から持ち続けていた医療への疑問・・・それでも”生きていく手段”として選んだ看護師の道

 

恵美さん
祖父がものすごく医者嫌いで・・・歯医者にも一人で行けないような人でした。

不調が続いていたのに病院に行くことを拒み続けて・・・受診する頃にはがんの末期。入院してすぐに亡くなりました。

幼稚園のときに祖母と祖父が亡くなるのを見ていたから、”入院すると人は死ぬんだ”って自分の中では常識になってましたね。

 

3歳のときにお祖母さん、5歳のときにお祖父さんが亡くなるのを身近で見ていたという恵美さん。家族の死を生活の中で見ていた恵美さんは、医療に対して前向きなイメージをあまり持っていなかったといいます。

 

それでも恵美さんが看護師になったのは・・・

お祖父さんみたいな方を助けたい!って思ったから???

 

恵美さん
いやいや、全然そんなんじゃないんです!(笑)

進路を決める時期になっても正直・・・やりたいことや人生の目標が見つからなくて

とりあえず現実的に生きていく手段として、看護師になる道を選んだんです。

 

うわー、その感じめっちゃ分かる!

わたしはそれで最初システムエンジニアになったけど・・・その仕事選びの考え方、まったく同じ!(笑)

とりあえず自立しなきゃ!働かなきゃ!って。

10代でやりたいことが定まる人って、少ないのかな?!

 

自立して生きていくために、看護師になることを選び看護大学に進学した恵美さん。ですが、幼少期から家族の死を身近に感じて育った恵美さんは”生存期間を伸ばす”ことにフォーカスしがちな現代の日本の医療、”生き方の教育”や”死の尊さ”を伝えない学校教育に、違和感を感じたといいます。

 

恵美さん
“苦しんでまで治療をしなくていいのに”って考えを子どもの頃から自然と持っていたので・・・キラキラと医療への憧れを語る同級生に、どこかで違和感を感じていました。

他の仕事をしたほうが、社会人として視野が広がるんじゃないかと思ったし・・・看護師向いてないかもって、本気で学校を辞めようか悩んで悩んで・・・。

そんな中、最初の実習が始まって1週間後にリーマンショックが起こって・・・!結局他にやりたいことも見つからず、辞める勇気もなかったので・・・続けるしかなくなっちゃいました(笑)

 

うわー!すごいタイミング!

東日本大震災もその数年後にあったし・・・激動の時代!

そういえばわたし・・・リーマンショック後に会社員辞めたから、転職先がみつからなくて泣いてた人です(笑)

だから看護師になって一番すごいなって思ったことは、景気に左右されないことや働き口がたくさんあること!

単発からパート、フルタイムまで・・・女性の職業で、こんなに働き方を選べる職業は他にないと思う!

 

悩みながらも看護学生を続けた恵美さんは、看護師・保健師の資格を取得し大学病院に就職しました。ですが、元々感じていた医療への違和感やどこか閉鎖的な医療業界、さらに自身が看護師一年目のときに起きた東日本大震災など・・・様々な出来事や想いが重なり、悩んだ末に病院を退職します。

 

模索する自分の看護!「あなたが楽しんでいることが大事」地域支援からつながる人の縁が人生を変えていく

 

恵美さん
医療の世界ってどこか閉鎖的で・・・一般企業に入れば視野が広がりそうだと思い企業保健室の求人を探しました。でもなかなか要件に合うところがなくて・・・。

そんなときに高校時代に通っていた市で“包括”の保健師を募集していて、縁あってそこで働くことになったんです。

 

地域包括支援センター(通称:包括)の業務

地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、三職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。(介護保険法第115条の46第1項)
主な業務は、介護予防支援及び包括的支援事業(①介護予防ケアマネジメント業務②総合相談支援業務③権利擁護業務④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務)で、制度横断的な連携ネットワークを構築して実施する。

厚生労働省HPより引用)

 

“包括的”という言葉には「すべてをひっくるめているさま、総括的」という意味があります。

“包括”(地域包括支援センター)は地域住民の生活に焦点をあてた支援施設。包括の職員は地域住民と直接関わり、介護予防支援生活相談の窓口となります。

 

恵美さん
すごく新鮮でした。自分のデスクがあることがまず不思議で(笑)

電話対応とか、議事録の書き方とか・・・病院ではやったことのない業務ばかり。

なにも知らない私に、根気よく仕事を教えてくれた先輩には本当に感謝です!

 

包括の仕事は、三職種=三人の少人数で行われていることも少なくありません。そんな教育体制が万全ではない中で、恵美さんは親身になって教えてくれる環境・人のありがたみを実感します。

そして、親身になってくれたのは職員だけではありません。包括で働きはじめた恵美さんが感じたのは「地域の人が看護師を育ててくれる」というあたたかい感覚でした。

 

恵美さん
「健康教室をやってほしい」と高齢の住民の方から要望があって・・・夏に熱中症の予防教室をやったんです。

それで模造紙で手書きの資料をつくって、集団指導をやりました。ひとりで行ってひとりでやるので、すごく緊張しましたね。

でもそのときに住民の方から「勉強になったよ。でも自分たちは年寄りだから、すぐ忘れちゃうんだよ(笑)」「来てくれるだけで嬉しいから、また来てね」と、そんなふうに言われたのが印象的でした。

 

来てくれるだけで・・・って言葉、嬉しいですね。

仕事だからじゃなくて、”恵美さんに来て欲しい”っていうのが伝わってきます。

 

恵美さん
そうなんです。その後「去年と同じ資料でいいから」って言われて、二年目も同じ健康教室をやったんです。

私、その日の前日に夏フェスに行ってて・・・その暑い野外での体験話を交えながら熱中症対策の大切さを伝えたんですよ。

そうしたら、「年を取ると自分は活発に動けないから、こうして若者の話を聞けることが生きる励みになる」「もっと色んな話をしてほしい。あなたが楽しんでいることが大事なんだよ」って地域の方が言ってくれて。

こんななんでもないことでも誰かの力になれるんだ!って感激しました。地域では“いち看護師”ではなくて“私”を見てくれている・・・そんな感覚が嬉しかったです。

 

病院で働いていた頃は業務に追われ決まったことをこなす日々だったという恵美さんは、自分ひとりで地域をまわることで、生活者の”生の声”を聞けるようになったといいます。患者と看護師ではなく、人と人として地域住民と関われることにやりがいを感じていきます。

 

地域の人や職場の先輩などたくさんの人に励まされながら成長していく日々。その一方、看護師研修に行くたびに「地域に出るのは、もう少し臨床経験を積んでからでもいいんじゃない?」「若手のうちは、病院でスキルアップするのが普通では?」などと周りから言われていたという恵美さん。

「自分は今、ここにいていいのだろうか・・・」と、悩み自問自答する日々が続きます。

 

きっかけは婚活?!運命を変えたコミュニティナースの世界

 

恵美さん
市民運動の一環で婚活をやっている地域があって、友達に誘われて気軽な気持ちで一泊ツアーに参加したんですよ。その滞在先で“地域づくり”や”街おこし”の活動を知ったんです。

そこでは何をするにも人の助け合いがあって、20~30代の方はもちろん、10代の学生さんも当然のように色んなことをお手伝いしていて。たくさんの人が地域の活性化のために意見を出し合って、身体を使って、協力し合って・・・。

“私もこんな活動がしたい!”と思いました。

 

ちなみに・・・恋の出会いは?(笑)

 

恵美さん
恋はなかったです~!(笑)

でもそこで会った方が”仕事で東京に行く”と言っていて・・・東京に戻ってきてすぐに再会しました!そのときの出会いは今もつながっています。

その後、SNSで友人のつながりでコミュニティナース一期生の募集を見かけて応募して・・・そこから道が拓けていきました!

 

友人から婚活企画に誘われたことがきっかけとなり、恵美さんが訪れたのは島根県雲南市。

実は雲南市は地域の未来を生み出す人材育成に力を入れており、幸雲南塾というプロジェクトが数年前から継続して行われています。

 

コミュニティナースの原点!島根県雲南市の”まちおこし”

地域の未来に必要な人と仕事をつくりだす

幸雲南塾は、島根県雲南市で、地域で学びと実践の機会を繰り返すことを通して、地域の未来を切り拓いていく人材を育成します。

「地域を元気にしたい」「もっと住んでいて楽しいまちにしたい」「地域の課題解決を仕事にしたい」そんな想いをカタチにし、地域の未来をつくるローカルチャレンジャーを生み出しています。
塾卒業生の活動は、仲間や地域を巻き込んで、地域の課題解決につながる動きや起業に繋がっています。

幸雲南塾HPより引用)

 

幸雲南塾には、全国からたくさんの人が参加しています。この理念を軸にした医療人材がコミュニティナースの原点です。

 

医療と地域をつなぐ存在!いつも地域の中にいる、コミュニティナース

コミュニティナースは、いつも地域の中にいて〝健康的なまちづくり〟をする医療人材です

病院や福祉施設、訪問看護に従事する看護師と異なり、地域の中で住民とパートナーシップを形成しながら、その専門性や知識を活かして活動する医療人材のことです。地域で中長期的に住民と関わることで、健康的なまちづくりに貢献することを目指します。

コミュニティナースカンパニー HPより引用)

 

“コミュニティナース”は決まった資格や組織名ではなく、そんな想いを軸に”地域で活動するナース”のこと。看護師のひとつの「あり方」です。

 

恵美さん
医療や介護を受けられるのって、病気や老化が進んでからってことが多いですよね。

必要以上の医療が必要だとは思いませんが、病院嫌いだった祖父が亡くなったのは60代。もっと普段から生活の中で医療職と関われるようなしくみがあったら・・・祖父の未来は違ったかなって思います。

 

確かに・・・病気じゃないときに医者や看護師に会うことって滅多にないから、病気になって始めて自分の健康に目を向ける人もいますよね。

自立して生活している人って、医療職と関わることが少ない。普段から顔見知りで気軽に健康相談できる相手がいたら、防げる病気が増えるんじゃないか・・・・私もそんな風に考えていました。

 

恵美さん
そうなんです。

地域と医療に隔たりがある・・・その課題を解消する方法はないかってずっと考えていて。コミュニティナースは私の想いにぴったりでした!

 

コミュニティナースプロジェクトに第一期生として参加した恵美さんは、東京でのワークショップ、京都府綾部市で行われた地域を学ぶフィールドワークなどを通し、地域で暮らす人の実際の生活や想い・解決が必要な課題などを学びました。(※現在、コミュニティナースプロジェクトは四期生まで続いています)

 

そして「経験年数が浅い看護師は病院で・・・」と言われ続けていた恵美さんにとって一番の変化は、仲間ができたこと。同じ志を持ち共に学ぶたくさんの仲間と出逢い、一気に世界が広がっていきます。

 

恋の出逢いではなかったけど・・・

すごく素敵な運命の出逢い

 

医療の枠に縛られない!地域をつなぎ、助け合う共育・調和の世の中をつくる”わたしの看護”

 

健康な人から医療機関を受診する手前の段階の人まで、健康への不安や未病・・・潜在的なニーズを持つ地域住民と医療の橋渡しができる存在として、恵美さんはコミュニティナースとしての活動を日々模索しています。

 

恵美さん
この間は医師や看護師で一緒に屋台を組み立てて、屋台で街を練り歩きました!

そうすると物珍しさで声をかけてくれる住民の方がいて。そこで立ち話をしているうちに、健康や生活の悩みが出てきたりして。

病院に行くほどじゃくても健康上で心配なこと、困っていることってあるんですよね。それを気軽に相談できる人や場所があったら・・・。地域のつながりによる安心、潜在する健康問題の解決や改善・・・コミュニティナースとしてそういう取り組みをしていきたいと思っています!

 

屋台・・・めっちゃ斬新!(笑)

でも考えてみると、”改まって健康相談”って誰にとっても敷居が高いことだと思うから・・・普段から気軽に相談できる相手ができる、顔見知りになれる、ってすごくいいことだと思います。

核家族少子高齢化・・・個人・家族・地域・・・人のつながりが薄れてしまった今だからこそ、地域コミュニティの再構築はすっっっごく重要!

 

「どのような看護活動が求められているのか?」住民や他分野の人材と一緒に考えるのがコミュニティーナースの特徴です。

わたしたちコミュニティナースを介して地域の輪が広がり、地域の声・みんなのアイデアが形になる、そして健康で幸せな人があふれていく。そんな町を目指して活動しています。

  • 地域に必要な機能を創る
    例:地域でのサロン活動(健康講座、在宅医療の周知、健康相談、介護相談など)、他施設の医療人材を招いての健康教室、暮らしや健康に関する相談対応(暮らしの保健室等)
  • ヒトコトをつなぎ町を元気にする
    地域医療勉強会やイベントの定期開催、施設・職種・地域を越えて育み・育む体制づくりを進めます。
  • 医療や看護の担い手を増やす
    高校・中学校へのキャリア教育参画、学生の地域活動参加を促す等、活動の魅力化だけでなく、次世代と繋がり新たな担い手確保に貢献します。

コミュニティナースカンパニー HPより引用)

 

今の時代に足りないもの・・・それは“つながり”ではないでしょうか?

 

育児の孤立、減らない心の病・自殺、重症化するまで放置される生活習慣病、高齢者の独居・孤独死など・・・インターネットで誰もがつながれる時代でありながら、人間関係の希薄さに関連するような社会の課題は増え続けています。

 

そして、それらの課題を解決するために必要なのは“つながりの再構築”、そしてそれを“システム化できる組織や仕組みづくり”ではないかと私は捉えています。

 

恵美さん
今後はコミュニティナース活動を主軸に、少子高齢化の社会課題を解決していけるような仕組みづくり・開発に取り組んでいきます!

 

恵美さんは今後、地域包括ケアシステムのモデルづくりを目指すホウカンTOKYOで活動していく予定だそう。

 

(定期的に行われている西南部在宅医療研究会で登壇した恵美さん)

 

ホウカンTOKYOは様々な分野の専門家が集まり社会貢献活動をする、いわゆる”プロボノ”活動がきっかけとなり発足された会社で、恵美さんとの出会いもプロボノのプロジェクトだったそう。

 

恵美さん
色んな人に助けてもらって支えてもらって、今の私があります。

一人じゃ何もできない。こうして仲間とつながって一緒に、誰かのために看護ができて幸せです。

看護師をしているのが苦しい時期があったけど、今は“楽しんでもいいんだ”って思えるしやりがいを感じています。

 

“つながり”から生まれた“つながりづくり”・・・縁が導いた「コミュニティナース」というあり方。“自分らしい看護”をみつけた恵美さんの表情は明るく輝いています。

 

縁がつないだかけがえのない仲間とともに、地域の明るい未来を創造していく恵美さん。わたしはそんな恵美さんの健康と幸せを応援していきます!

 

 

 

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